1. 日時
平成15年4月17日(木)午後3時
2. 場所
最高裁判所中会議室
3. 出席者(敬称略)
委員
平山善吉
特別委員
大森文彦,坂本 功,山口昭一,山本康弘(和田 章は欠席)
オブザーバー
工藤光悦,田中信義,齋藤 隆,田中 敦(斎藤賢吉は欠席)
事務局
菅野雅之,花村良一
4. 議事
(1) 開会あいさつ
(2) 配付資料の説明
「鑑定人候補者推薦依頼一覧」(資料1)(PDF:336KB)について,前回の分科会以降に推薦を得た事例を追加したことの説明がされた。
(3) 「中間とりまとめのたたき台」(資料2)について
事務局が取りまとめた「第一次答申案」(以下「原案」という。)に対し,前回の第5回委員会及び第8回分科会(以下「前回委員会」という。)において出された意見を踏まえ事務局において変更を施した点につき,本分科会での意見をいただきたい旨の説明がされた。
ア 「第1 はじめに」及び「第2 建築界と法曹界との関係」について
表題を「第1次答申」から「中間とりまとめ」としたことについて,諮問事項からすればまだ検討すべき事項が残されていることから,ここでは答申とするのではなく,これまでの議論の確認及び明確化という意味で表現を改めたこと,また,建築界と裁判所及び当委員会の三者の関係を明確化させるため,別紙1のイメージ図(PDF:54KB)を追加したことが説明された。
イ 「第3 建築紛争の原因と紛争解決・予防のための方策について」について
(ア) 表題について
この取りまとめの内容が紛争解決だけでなく紛争予防という趣旨を含むものであるとの前回委員会での指摘を踏まえ,表題部分に「予防」との文言を追加したことが説明された。
(イ) 「2 建築紛争の原因について」について
原案の「請負人」との表現では対象が限定的になり,元請や下請,工事監理者といった者が含まれないと捉えられやすいこと,原案の「消費者対専門家」という一面的な切り口について,専門家同士にも技術力の差がありそれが紛争の原因となっている場合もあること,契約における説明についてはビル系の建物の場合はきちんとしていることが多いのではないかということ,紛争の原因には欠陥住宅等の杜撰な工事という建築家等側の職業倫理問題ともいえるものや注文主側の重大な落ち度によるものも含まれること,追加・変更契約が口頭で行われることが多く紛争の原因となっていることというような前回委員会での意見を踏まえ,修正を加えたことが説明された。
(主な発言)
- 「設計・施工・監理を行う専門家(以下『建築家等』という。)」との表現については,「設計・監理を行う専門家や施工者」とすべきではないか。専門家という言葉は,個人を指す場合に使用されることが多いからである。また,『建築家等』との表現についても,例えば『建築技術者等』との表現にしてはどうか。
- 「注文主」と「注文者」との表現が両方使用されているため,どちらかに統一してはどうか。
- 「専門家等の間においてすら技術力に差がある場合」とは,例えば上手か下手かの話であると思われるが,端的に言えば,専門家の技術力が乏しいとの表現にすることはどうか。現実の紛争事例には,例えば施工業者として当然に備えているべき技術常識の理解不足により,瑕疵の原因となる施行を行うものが相当数見受けられる。
(ウ) 「3 契約書等の現状」について
追加・変更契約も紛争を引き起こす原因となるものであること,元請と下請との契約が原因で紛争になっている裁判実務例が多いことというような前回委員会での意見を踏まえ,修正を加えたことが説明された。
(主な発言)
- 「(2) 施工」中の,民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会作成の約款が住宅金融公庫監修の約款を参考としているとの記載があるが,これは誤りであり,正しくは「住宅金融公庫監修の約款があるが,その内容は民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会作成の約款を参考とするなど」が正しい。
ウ 「4 契約書の在り方」について
単に書面を作成すれば良いのではなく,むしろその内容が契約当事者のコンセンサスに基づいたものでなければならないこと,工事の追加・変更を巡っての紛争が複雑・深刻化している現状にあることというような前回委員会での意見を踏まえ,修正を加えたことが説明された。
エ 「5 注文主と建築家等との間のコミュニケーションの在り方」について
請負人から注文主に対する説明は,契約に至る全てのプロセスにおいて行われる必要があるため,契約締結時だけでなくその前の見積りの段階から十分に行われるべきであること,十分な説明とその記録化は,紛争の解決に役立つのみならず紛争の予防にも資すると考えられることというような前回委員会での意見を踏まえ,修正を加えたことが説明された。
オ 「第4 最後に」について
杜撰な工事を行うなど建築専門家側にも紛争の原因があること,建築に関する相談窓口として,契約締結前の段階と建物完成後における不具合が生じた際の段階に加え,両者の中間的なものが考えられないかということ,紛争に至った場合にそれを解決する手段として建築専門家が関与する裁判外紛争処理手続(ADR)が有用と考えられることというような前回委員会の意見を踏まえ,修正を加えたことが説明された。
(4) 今後のスケジュール
第10回分科会は平成15年6月頃(本委員会と合同開催)に開催予定であることが確認された。