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ア. 利用案内
ここでは,東京地裁民事第9部における主な手続等の概要を記載例を交えて掲載していますが,事件の内容,事務処理上の問題などから,必ずしもこれに掲載したとおりの処理ができない場合があること,また,当部独自の処理方法によっているものもありますので,あらかじめご了承ください。
掲載した記載例は,参考にする部分をドラッグするなどして選択し,A4スタイルのワープロ文書(フォント12ポイント,1行37字,1頁26行,上端35mm,下端30mm,左端30mm,右端20mmの形が一般的です)にコピーして参考にすることも可能かと思われます。
なお,掲載した情報は,予告なく変更することがありますので,ご了承ください。
平成30年3月
イ. 民事第9部の場所
当部は,東京地方・高等・簡易裁判所合同庁舎2階北側(法務省赤レンガ建物寄り)にありますので,北エレベーター又は階段をご利用ください。
ウ. 主な担当事件
当部が担当する主な事件は次のとおりです。
1.民事保全に関する事件
(ただし,本案訴訟が
行政事件(民事第2部・3部・38部・51部担当),
商事事件(民事第8部担当),
労働事件(民事第11部・19部・36部担当),
知的財産事件(民事第29部・40部・46部・47部担当),
等の特殊事件である場合は,保全事件も当該特殊部で担当することになります。被保全権利の本案訴訟がどのような訴訟になるか確認してください。また,被保全権利が離婚に伴う財産分与請求権の場合は,家庭裁判所の専属管轄となりますので注意してください。)
※証拠保全申立事件の受付は民事訟廷事件係(14階)です。
2.配偶者からの暴力の防止等に関する保護命令事件
(いわゆるDV(ドメスティックバイオレンス)防止事件)
3.人身保護請求事件
(ただし,受付は当部ではなく,民事訟廷事件係(14階)です。)
4.強制執行停止事件
(ただし,行政事件,商事事件,労働事件,知的財産事件等の特殊部に関する執行停止を除く。また,受付は当部ではなく,民事訟廷事件係(14階)です。)
エ.各係の問合せ先と担当する主な事務
民事第9部書記官室には発令係,取消係,弁論係があります。各係の問合せ先と担当する主な事務は次のとおりです。
FAX番号は全係共通(03-3595-2259)です。
発令係
03-3581-3402
03-3581-3404
03-3581-3406
保全事件の申立書の受付
保全命令の発令
供託書の受入,各種目録の受理,決定正本の作成など
保全執行の手続
決定正本の発送、登記嘱託、登録嘱託など。なお、占有移転禁止仮処分など執行官が保全執行機関となる場合は、別途執行官に対する保全執行の申立て(東京地方裁判所民事執行センター執行官室執行部(所在・目黒区目黒本町二丁目26番14、電話番号・03-5721-0734)が必要となります。その場合には、保全執行に期限があるため、保全命令が発せられる前に、あらかじめ執行官室にご相談いただいた方がよいことがあります。詳しくは執行官室のウェブサイトをご覧ください。
取消係
03-3581-3453
担保取消手続
保全命令発令後の取下げ(それに伴う,執行取消・解放の処理)
解放金供託による執行取消
起訴命令等の手続
担保物変換
強制執行停止事件
雑事件の受付
(仮差押及び仮処分(基本事件が当部のもの)の異議・取消しの申立て等)
弁論係
03-3581-3456
保全異議・保全取消事件(申立書は,取消係へ提出)
人身保護請求事件(申立書は,民事訟廷事件係(14階)へ提出)
DV防止事件(申立書の受付を含む。) 等
オ. 保全事件とは?
保全事件は,どんな事件・・・一口メモ
債権者(以下,申立てをする側をこう呼びます)が勝訴判決を得て強制執行を行うまでには一定程度の時間を要します。
そこで,債権者の権利を保護するため,債務者(以下,申立ての相手方をこう呼びます)の財産を一時的に処分できないようにしておく手続が保全事件です。
金銭債権について将来の強制執行を保全するために債務者の財産を処分できないようにしておくのが仮差押え(民事保全法(以下「保全法」といいます。)20条)です。
仮差押えと同様に将来の強制執行を保全するもので特定物の引渡請求権等を保全の目的とするのが係争物に関する仮処分(保全法23条1項)です。
例えば,将来の移転登記請求権を保全するためには,登記名義を現状のままに固定しておくことが必要ですし(処分禁止仮処分),建物の明渡請求権を保全するためには,そこに住んでいる人を固定しておくことが必要です(占有移転禁止仮処分)。
これに対し,争いがある権利関係について,現在債権者に生じる著しい損害又は急迫な危険を避けるために暫定的な措置をするものを仮の地位を定める仮処分(保全法23条2項)といいます。
例えば,交通事故の被害者が事故のために働けず,生活に困窮している場合に,加害者から被害者に毎月一定の金銭の給付を命じる場合などです。
カ. 保全事件の流れ
a.『無審尋事件の場合』(債務者に対する反論の機会を設けない場合)
- 保全命令申立て
- 債権者の裁判官面接(数回にわたる場合もあります)
- 担保決定(保全法14条参照)
- 供託書又は支払保証委託契約書提出・各種目録・切手等提出
- 保全命令発令
保全命令発令日に,債権者に決定正本送達が可能です。(登記・登録嘱託書や第三債務者宛の決定正本は同日夕方に,速達で発送します。)
債務者には,原則として保全命令発令日の一週間後に決定正本を発送します。(占有移転禁止仮処分や動産引渡仮処分等執行官による保全執行がともなうものについては,債務者に対する決定正本送達を遅らせる旨の上申により保全執行後の発送とすることができます。)
b.『要審尋事件の場合』(仮の地位を定める仮処分の場合,保全法23条4項参照)
- 保全命令申立て
- 債権者の裁判官面接(数回にわたる場合もあります。)
- 審尋(又は口頭弁論)期日呼出・債権者から債務者へ申立書副本及び疎明書類の写し直送
- 審尋(又は口頭弁論)期日の実施(数回にわたる場合もあります。)
- 担保決定(保全法14条参照)
- 供託書又は支払保証委託契約書提出・各種目録・切手等提出
- 保全命令発令
保全命令発令日に,債権者・債務者に決定正本を発送等します。ただし,執行官の執行が必要な事件につき債権者の上申により債務者に対する決定正本の発送を延期する場合もあります。
もっとも,審尋(又は口頭弁論)期日の際に,話し合いがつけば,和解で終了する事件もあります。
c. 上記 a,b 共通点
保全命令の発令前であれば,債権者が申立事件を取り下げることによって事件が終了することもあります。要審尋事件の場合,審尋(又は口頭弁論)期日呼出をした後での取下げのときは,債務者に取下げがあったことを通知します。
また,被保全権利あるいは保全の必要性が疎明できないときは,保全命令が発令されず,保全命令申立てが却下されることもあります。