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損害賠償等に関する審理について

平成20年7月(令和7年2月改定)

東京地方裁判所知的財産権部

(民事第29部,第40部,第46部,第47部)

損害賠償,不当利得返還等の金銭的請求がされている知的財産事件の審理について,次の点にご留意ください。

(1)審理の方針

知的財産権訴訟においては,まず知的財産権の侵害が生じているかどうかの審理(侵害論)を集中して行います。その審理の結果により損害,不当利得等の発生及び額の審理(損害論)に入る 必要があると判断された場合に,損害論の審理を集中して行います。

(2)原告側の準備

原告は,侵害論の審理中においても,損害論の審理に入った場合に迅速かつ適切に対応することができるように,あらかじめ資料を収集するなどの準備をしておいてください。損害論の審理に入った後は,それまでの審理で明らかになった事項に基づいて直ちに損害等の主張を補充するとともに,自己の主張の裏付けとなる資料を提出してください。また,特許法102条1項等に基づく損害の主張をしている場合には,自己の製品等の単位数量当たりの利益額を立証するための資料の提出も必要になります。

(3)被告側の準備

被告は,侵害論の審理中においても,貸借対照表,損益計算書等の計算書類,売上帳,仕入台帳等の帳簿類並びに注文書,納品書,売上伝票等の伝票類の保存と整理に努め,仮に損害論の審理に入った場合には,直ちに原告の主張に対するより具体的な認否及び反論を提出することができるようにしておいてください(上記の書類が電磁的に記録されている場合には,それらの保存等にも努めてください。)。

損害論の審理に入り,被告の製品等の販売数,販売額などについて具体的立証が必要になると,被告から,原告により損害等の主張がされている期間の貸借対照表,損益計算書,月別若しくは取引先別の売上帳,仕入台帳又はそれらの電磁的記録などの提出が必要となる場合があります。さらに、これらの資料だけでは不十分と判断された場合には,個々の取引に関する注文書,納品書,売上伝票等の提出が求められる場合があります。

なお,被告が任意に損害立証に必要な文書を提出しない場合には,当該文書について裁判所から文書提出命令が発せられることがあります。

以上

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