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ア.担保の簡易取戻しの手続
保全執行としてする登記(登録)又は第三債務者に対する保全命令の送達ができなかった場合,その他保全命令により債務者に損害が生じないことが明らかである場合において,保全執行期間が経過し,又は保全命令の申立てが取り下げられたときは,前記の担保取消しの手続によらず,発令裁判所の許可により,担保を取り戻すことができます(民事保全規則17条1項,以下「保全規則」という)。
債務者が担保に関する債権者の権利を承継したときも同様です(同条4項)。
イ.東京地方裁判所民事第9部における担保取戻しの運用基準
【表7】
保全命令の種型 | 執行方法等 | 許可の要件(注1) |
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全件共通 |
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仮差押え、処分禁止の仮処分 | 登記又は登録 |
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第三者又はこれに準ずる者への送達 |
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仮差押え、占有移転禁止の仮処分 | 執行官のよる執行 | (A)執行申立て前、(B)執行着手前の(a)申立ての取下げ、(b)執行期間経過 |
処分禁止、占有移転禁止以外の作為又は不作為を命ずる仮処分 | 間接強制、代替執行 | 債務者への不送達の場合の申立ての取下げ |
執行官のよる執行 |
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仮の地位を創設する仮処分(間接強制、授権決定又は執行官による執行を予定していないもの) | 多様 |
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(注1)(A)(B)や(a)(b)は択一的要件,【1】【2】【3】は重畳的要件です。
(注2)本表で単に「申立て」とは,保全命令の申立てを指します。
(注3)この場合の担保取戻許可の申立権者は,債務者になります。
ウ.担保取戻許可申立書の添付書類一覧表
担保取戻許可の申立てには,申立書の正副2通(1通を許可原本,1通を許可正本とするため),担保取戻許可正本の受書1通(日付空欄のもの)のほかに,次の書類を添付します。
【表8】
担保取戻し事由 | 添付書類 | 該当条件 |
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保全命令発令前の保全命令申立ての取下げ | 保全命令申立ての取下書 | 保全規則17条1項、同条3項 |
保全命令発令後執行申立て前の保全命令申立ての取下げ |
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執行申立て後執行着手前の保全命令申立ての取下げ |
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保全命令発令後執行期間の経過 |
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不動産仮差押え、同仮処分(処分禁止)登記嘱託の却下 |
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第三者債務者に対する債権仮差押命令の不送達 |
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債務者に対する単純な作為・不作為を命じた仮処分命令の不送達 |
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債務者のよる担保取戻請求権の承継 |
| 保全規則17条4項、同条5項 |
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(注1)担保取戻許可申立書については,保全規則17条2項に掲げる事項を記載します。
(注2)保全命令の決定正本については,同17条3項1号ただし書,2号の例外があります。
- 【書式24】担保取戻許可申立書(供託の場合)
- 【書式25】担保取戻許可申立書(支払保証委託契約の場合)
- 【書式26】担保取戻許可申立書(承継の場合)
エ.担保の簡易の取戻しについてのQ&A
- 担保取戻許可の申立てに際して,一般的な注意事項はありますか。
- 担保取戻許可申立書の記載事項や,申立ての添付書類は,このホームページの「裁判手続きを利用する方へ」の中の「6 担保の簡易の取戻しの手続」に記載されていますので,参考にしてください。担保取戻許可申立書は,正本,副本を各1通提出してください。許可されると,担保取戻許可書正本が交付されますので,同許可書正本の請書も提出してください。なお,供託原因消滅証明申請書は不要です。