トップ > 各地の裁判所 > 東京地方裁判所/東京簡裁以外の都内簡易裁判所 > 裁判手続きを利用する方へ > 民事第8部(商事部)
- 1.商事部(民事第8部)の概要
- 2.会社訴訟チェックリスト
- 3.商事保全事件チェックリスト
- 4.非訟事件・過料事件について
- 5.弁論・手形
- 6.商事保全(仮差押・仮処分)事件について
- 7.仲裁関係事件
- 8.よくある質問
- 9.論文等紹介
- 10.事件の受付、閲覧・謄写
- 11.所在地、電話番号
東京地裁民事第8部(商事部)は、東京地裁における商事訴訟事件、会社非訟事件,仲裁法に規定する事件(知的財産権に関するものを除く。)などの事件処理を専門に担当しています。
(1)弁論・保全・手形係の担当事件
訴訟事件については、いわゆる会社訴訟事件を中心として、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)に基づく差止請求訴訟及び損害賠償請求訴訟並びに公正取引委員会の処分に係る同法及び行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟、消費者契約法12条に基づく差止請求訴訟、手形(小切手)訴訟事件等を取り扱っています。
また、以上の事件を本案とする保全事件、上記抗告訴訟を本案とする仮の救済事件、独禁法70条の4に基づく緊急停止命令申立事件、仲裁法に規定する事件(知的財産権に関するものを除く。)も取り扱っています。
(2)非訟・過料係の担当事件
非訟事件として、会社非訟事件、民事非訟事件、過料事件、金融商品取引法192条に基づく同法違反行為禁止等命令申立事件等を取り扱っています。
当部がこれまで蓄積してきた会社訴訟事件の実務上必要な知識やノウハウをチェックリスト、記載例、参考書式などにまとめています。訴状作成や争点整理などの際にご確認ください。
当部がこれまで蓄積してきた商事保全事件の実務上必要な知識やノウハウをチェックリスト、記載例などにまとめています。申立書作成や争点整理などの際にご確認ください。
(1)非訟事件について
非訟事件チェックリスト
当部がこれまで蓄積してきた会社非訟事件の実務上必要な知識などをチェックリスト、記載例、参考書式などにまとめています。申立書作成や争点整理などの際にご確認ください。
(2)過料事件について
過料決定についてのQ&A
過料事件についてよくある質問を記載しています。
訴訟事件について
- (1)受付場所
- (2)管轄
- (3)当事者適格・会社を代表する者
- (4)出訴期間
- (5)訴状に添付する附属書類
- (6)郵便切手の予納額について
- (7)訴状作成上の留意点
- (8)登記嘱託
- (9)電子データの提出について(PDF:280KB)
- (10)参考事項聴取書(原告)(PDF:372KB)(Word:23KB)
参考事項聴取書(被告)(PDF:402KB)(Word:21KB)
手形・小切手訴訟について
訴訟事件について
当係で取り扱う以下の訴訟事件の訴状は、ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷事務室で受け付けます。郵送で提出する場合の宛先は「〒153-8626 東京都目黒区中目黒2-4-1 東京地方裁判所中目黒庁舎 民事訟廷事務室 事件第二係」です。
ア 会社法に規定する事件(同法8条及び同法21条に規定する請求事件並びに株主以外の者が提起する同法429条による訴訟事件を除く。)
例えば、会社組織に関する訴え(会社合併無効等)、株主総会決議取消し、株主総会決議不存在・無効確認の訴え、株主代表訴訟を含む損害賠償請求、取締役辞任登記・地位確認等の取締役の地位に関する訴え、帳簿閲覧謄写等の株主権に関する訴え等があります。
イ 会社法上の行為(株式払込金、出資金、配当金、剰余金、損失金、株主権、持分、除名、退社、社債、清算、各種決議等)の効力又は存否に関する事件
ウ その他会社以外の法人(宗教法人、学校法人等)の、理事者・会員等の地位に関する事件及び定款変更等法人の組織に関する事件
エ 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律24条に規定する差止請求及び25条の規定による損害賠償請求並びに85条に規定する抗告訴訟等の事件
オ 消費者契約法12条に規定する請求事件
会社訴訟の中には、会社法で専属管轄の定めのある事件が多数あります。その場合、応訴管轄や合意管轄が排除されます。
例えば、会社法834条にいう会社の組織に関する訴え(例:株主総会決議取消訴訟等)は、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄(同法835条1項)、同法847条1項にいう責任追及等の訴え(例:株主代表訴訟、同法423条1項に基づく損害賠償請求訴訟等。なお、責任追及等の訴えについては、会社が役員等の責任を追及する場合も含む。)は、株式会社の本店所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄(同法848条)、株式会社の役員の解任の訴え(同法854条)は、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄(同法856条)となります。また、役員の地位確認・地位不存在確認、取締役会決議無効・決議不存在確認の各訴えについては、会社法に規定はないものの、会社法835条1項を類推適用できるとの取扱いをしています。
なお、「会社の本店所在地」とは、実質的な営業本拠地ではなく、定款で定め登記をした本店の所在地とする取扱いをしています。
- 当事者適格
- 会社訴訟の中には、原告適格・被告適格が限定される事件が多数あります。
例えば、会社の組織に関する無効の訴え(【原告適格】会社法828条2項、【被告適格】同法834条1号~12号の2)、株主総会決議取消しの訴え(【原告適格】同法831条1項(ここに規定する株主等の定義は同法828条2項1号)、【被告適格】同法834条17号)、会社解散の訴え(【原告適格】同法833条1項、【被告適格】同法834条20号)、株式会社の役員の解任の訴え(【原告適格】同法854条1項、【被告適格】同法855条)等です。また、役員の地位確認・地位不存在確認の訴えは、判例上その認容判決に対世効があり当該役員にも効力を有するとされていることから、被告は会社のみで足りる取扱いをしています。
会社を代表する者
会社と取締役(過去に取締役であった者も含む。)・執行役(過去に執行役であった者も含む。)との間の訴訟においては、会社の代表者が代表取締役以外の者となる場合があります。
別表「会社と取締役・執行役間の訴訟における代表者一覧表」(PDF:212KB)の分類を参考にしてください。
登記簿上の「監査役設置会社」(会社法911条3項17号参照 )と取締役(元取締役を含む。)との間の訴えにおける会社代表者については、
▶「監査役設置会社と(元)取締役との間の訴えにおける会社の代表者に関するフローチャート」と「代表者確認の際の留意事項」【R6.7.17改訂版】(PDF:452KB)をご確認ください。
会社訴訟の中には、訴えをもって請求できる期間が定められている事件が多数あります。
例えば、株主総会決議取消請求は株主総会決議の日から3か月以内が出訴期間とされ(会社法831条)、会社の組織に関する無効の訴えについては会社法828条1項各号においてそれぞれその出訴期間が定められています。
訴状の提出とともに添付する付属書類及び書証は、通常の訴訟とほぼ同じです。証拠説明書についても速やかな提出をお願いしています。
そのほか、特に商事事件として必要になるものについては以下のとおりです。
ア 履歴事項全部証明書
会社に関する訴訟について、会社の代表者のほか株式発行などの登記事項を確認する必要がありますので、現在事項証明書では足りず、履歴事項全部証明書が必要となります。
イ 定款又はそれに類する書証
会社組織に関する訴えでは、定款又はそれに類する書証も事前にご提出いただけると、訴状審査等が速やかに進んでいきます。また、「(3) 会社を代表する者」の項に記載した代表者が監査役になるか否かを判断する必要がある事件について、商業登記(履歴事項証明書)だけでは、監査役設置会社という登記がされていても、実際に会社法の定義における監査役設置会社かどうか(監査役の監査の範囲が会計監査権限に限定されているかどうか。)が判別できない場合には、定款写しの提出が必要です。この点については、「監査役設置会社と(元)取締役との間の訴えにおける会社の代表者に関するフローチャート」と「代表者確認の際の留意事項」(PDF:416KB)をご確認ください。
ウ 株主代表訴訟について
株主代表訴訟を提起される場合には、会社に対する提訴請求から60日を経過しないと提訴できませんので、それを証する書面として提訴請求書(会社法847条1項)の控え及び配達証明書を提出してください。また、株主代表訴訟を提起した原告たる株主は、遅滞なく株式会社に対して訴訟告知をしなければならないことになっており(同法849条4項)、当部の運用として、訴訟提起時に訴訟告知書の提出をお願いしています。
また、株主代表訴訟の訴状に記載された被告の住所が就業場所(会社の住所地)とされているのに、就業場所送達であることを意識せず、就業場所送達の要件を認定するための資料が一切提出されていない例がありますので、注意してください。
エ その他
株主総会決議の不存在・無効確認、取消しの訴訟においては株主総会議事録、役員報酬請求訴訟においては報酬規定、報酬を決定した際の議事録、内規、原告適格が株主である訴訟においては株主であることを証明する書類(株券等)等を提出してください。また、当部の合議事件については、電子データの提出をお願いしています(PDF:280KB)。
訴訟の郵便切手については、郵便料の電子納付をお願いします(PDF:1,315KB)。
郵便切手で納付する場合の予納額は次のとおりです。
原告1名、被告1名の場合 合計6,000円
(内訳 500円×8枚、110円×10枚、100円×5枚、50円×5枚、20円×5枚、10円×5枚)
当事者が1名増すごとに1,220円2組(合計2,440円)追加(内訳500円×4枚、110円×4枚)(ただし、原告が複数であっても、共通の代理人がいる場合は、加える必要はありません。)。
会社訴訟の訴状に記載する請求の趣旨及び請求原因について、会社訴訟チェックリストのほか、「類型別会社訴訟Ⅰ・Ⅱ(第3版)」(判例タイムズ社)の記載例などを参考にしてください。
ア 請求の趣旨
金銭請求以外の請求の趣旨については、定型的でないものが多いので、記載例を参考にして、間違いのないように記載してください。
また、金銭請求の附帯請求の起算日について、請求原因でその主張がないものや、法律的に誤っていることがあります。例えば、任務懈怠による損害賠償請求の遅延損害金の起算日は、懈怠行為の日ではなく、請求の日の翌日になります(最判平26.1.30判例時報2213号123頁)。
イ 請求原因
請求原因についても、記載例を参照して、遺漏のないようにしてください。
例えば、取締役の報酬や退職慰労金を請求する場合は、定款の定め又は株主総会の決議を請求原因として主張する必要がありますが、その点について全く主張がない訴状が散見されます。
また、株主代表訴訟や任務懈怠による損害賠償請求訴訟では、取締役等の注意義務違反の内容を特定する必要がありますが、訴状の記載内容が抽象的にすぎ、被告の防御に困難を来す例も見受けられますので、ご注意ください。
会社法937条に掲げる事項(例えば、総会決議無効等の請求)を認容する判決が確定したとき、当該総会で決議された事項等が登記されている場合には、その確定判決に基づき、速やかにその登記を抹消等するため、職権で登記嘱託を行います。その際は、登記嘱託に必要な登録免許税(収入印紙)及び郵券を提出する必要があります。
手形・小切手訴訟について
手形・小切手訴訟の訴状は、ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷事務室で受け付けます。郵送で提出する場合の宛先は「〒153-8626 東京都目黒区中目黒2-4-1 東京地方裁判所中目黒庁舎 民事訟廷事務室 事件第二係」です。
ア 事物管轄
通常訴訟における規定が適用され、訴訟の目的の価額が140万円以下の場合は簡易裁判所に、これを超える場合には地方裁判所に裁判権があります(裁判所法33条1項1号、24条1号)。
イ 土地管轄
主として次の規定によって裁判所の管轄が定まります。
(ア)被告の普通裁判籍(民訴法4条)
(イ)手形支払地の裁判籍(同法5条2号)
支払地とは、手形上に記載されている手形金が支払われるべき地(手形法1条5号、同法75条4号)のことです。
(ウ)義務履行地の裁判籍(民訴法5条1号)
(エ)併合請求の裁判籍(同法7条)
添付書類は、通常訴訟と同じで資格証明書、委任状等です。書証は、手形・小切手写し等です(手形の場合は、表面を甲第1号証の1、裏面を同号証の2、付箋を同号証の3、小切手の場合は、表面を甲第1号証の1、裏面を同号証の2としてください。)。
手形訴訟は1回結審が原則となりますので(民訴規則214条)、第1回口頭弁論期日に手形・小切手の原本を持参してください。
ア 手形目録の記載事項のうち、手形番号は、原則として記載する必要はありません。(全ての記載事項が同じである手形が数通ある場合は、手形を特定するために手形番号を記載してください。)
イ 手形目録の支払地及び振出地の記載については、最小独立行政区画(市町村及び東京都特別区)の記載が必要であり、かつ、それで足ります。したがって、東京の場合は、「東京都○○区」で足りますが、大阪市や横浜市などの区は独立の行政区画でないので区の記載はしないでください。
ウ 手形目録の振出人、受取人、裏書人の記載は、「原告」や「被告」の肩書はつけず、手形の記載どおり法人名又は個人名を記載してください。
エ 手形の受取人欄が白地のままでの手形や裏書の連続を欠く手形により手形訴訟を提起する例や、附帯請求について法定利息か遅延損害金かが訴状の記載から分からない例なども散見されますので、ご注意ください。
手形・小切手訴訟においては、証拠方法が原則として書証のみに限定され(民訴法352条1項及び2項)、例外的に書証の真否及び提示に関してのみ当事者本人尋問が許されます(同条3項)。したがって、証人の取調べ、鑑定、検証等もできません。
なお、手形・小切手の原本は期日に必ず持参してください。
ア 通常手続移行
原告から口頭弁論終結前までに通常移行の申述があれば、それ以降は通常の民事訴訟の手続で行われますので、証拠調べの制限もなくなります。通常移行後も同じ民事第8部で審理されます(事件番号は変わりません。)。
なお、被告が欠席して欠席判決となるケースのときに、弁論を終結する際に、原告が通常移行の申述をすることは差し控えていただいています。
イ 不服申立て
手形・小切手判決において請求認容又は請求棄却の本案判決に対し不服があるときは、判決送達日から2週間以内に判決をした裁判所に異議を申し立てることができます。また、一般訴訟要件欠缺を理由とする訴え却下の訴訟判決に対しては控訴ができますが、特別訴訟要件(民訴法350条1項)の欠缺を理由とする訴え却下の訴訟判決に対しては不服申立ての方法はありません。
なお、異議申立書の提出先はビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷になりますが、当該事件の審理は霞が関庁舎の通常部で行います。
ウ 執行停止
手形異議申立てに伴う執行停止については、停止要件が厳格ですのでご注意ください(民訴法403条1項4号)。民事第8部で手形・小切手訴訟事件の事件記録を保管している間に申し立てられた執行停止事件は当部で審理を担当します。
- (1)当部で取り扱う事件の種類
- (2)受付場所
- (3)受付時間等
- (4)管轄
- (5)申立書作成上の留意事項
- (6)申立書に添付すべき付属書類
- (7)申立手数料
- (8)郵便切手
- (9)審尋期日
- (10)担保
- (11)決定に対する不服申立
- (12)登記嘱託
- (13)担保取消しの手続
- (14)商事保全命令申立事件における処理手続概要図(PDF:102KB)
当部が担当する保全事件は、前記5の(1)(受付場所 訴訟事件について)に記載のある事件を本案とする仮差押事件・仮処分事件(仮差押命令・仮処分命令に対する異議・取消しを含む。)並びにこれに関する執行異議及び執行停止事件です。
当部が担当する保全事件の申立書は、ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷事務室で受け付けます。郵送で提出する場合の宛先は「〒153-8626 東京都目黒区中目黒2-4-1 東京地方裁判所中目黒庁舎 民事訟廷事務室 事件第二係」です。
受付時間は、午前8時30分から午後5時までですが、申立書の審査には30分から40分程度の時間がかかりますので、午前は11時までに、午後は4時までにお越しください。
受付段階での債権者面接は、原則として行っていません。
保全命令申立ては、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地や、仮に差し押さえるべき物又は係争物が債権である場合の当該債権の債務者の普通裁判籍の所在地等に管轄がある旨定められています(民事保全法12条)。「本案の管轄裁判所」については、前記5の(2)(管轄 訴訟事件について)を参照してください。本案が会社の本店所在地を専属管轄とする場合、受付の際に、当該会社の本店所在地を登記事項証明書で確認することになります。
ア 当事者
取締役と会社との間の保全事件では、前記5の(3)(会社を代表する者 訴訟事件について)を参照して、会社を代表する者を検討してください。また、債権者及び債務者を誰にするかについても、被保全権利や登記の状況等によって異なるため、被保全権利を明確にした上で、検討してください(例えば、債務者は、会社のみの場合、取締役のみの場合、両方の場合があります。)。
イ 被保全権利と保全の必要性
被保全権利が不明確であると、審理の対象が定まらず、債務者の反論も困難となり、適切な当事者の選択もできなくなって、手続の円滑な進行に支障を来しますので、申立書で被保全権利を明確にしてください。また、保全の必要性についても、申立書に全く記載しないものや抽象的な記載にとどまるものが散見されますが、具体的に主張し疎明してください(民事保全法13条参照)。
申立書に上記の不備があった場合、補正の連絡をしますので、速やかに補正をお願いします。補正が遅れると第1回審尋期日の指定も遅れ、事件の速やかな進行の妨げとなりますので、ご協力ください。
ウ 要急事案
新株発行差止仮処分や株主総会開催禁止仮処分等で、新株発行日や株主総会開催予定日が決まっており、かつ、その日にちが切迫している事案は、できるだけ早く申立てを行うとともに、申立ての際に要急事案である旨を担当者に伝えてください。また、可能な限り早く審尋を行う必要がありますので、日程の確保にもご協力ください。
商事保全の申立てをするときは、申立書に添付書類や書証を添えて提出してください。
添付資料や疎明資料については「商事保全事件申立書類一覧」を参照ください。
当部では、必要に応じて、債権者及び債務者が立ち会うことができる双方審尋を行っています。双方審尋を行う場合には、通常、債権者と裁判所とで予定を調整して審尋期日を決めて、債務者の呼出しを行います。申立書に不備がなければ、申立日から1週間から10日くらいの間の日にちを審尋期日に指定しています。ただし、前述の新株発行差止仮処分などの要急事案は可能な限り早い日にちを指定しています。
認容決定手続
ア 担保の告知
裁判官が審理の結果認容すべきと判断した場合には、原則として、発令前に担保決定を行い、債権者側に担保の告知をします。
イ 担保額
担保は、会社の規模、事案の内容及び被保全権利の疎明の強弱等を斟酌して決定します。
ウ 担保提供期間
担保の提供期間は一般的には7日程度です。この期間の計算については、初日(担保決定告知の日)は算入しません(民訴法95条1項、民法140条)。
エ 担保の提供方法
担保の納入は、原則として金銭又は裁判所が相当と認めた有価証券を供託する方法及び民事保全規則2条に定める方法(支払保証委託契約を締結する方法)によって行います。
なお、供託所は、原則として東京地方裁判所の管轄区域内にある法務局になります(民事保全法4条1項、供託法1条)。
オ 民事予納金の納付
職務代行者選任申立てにおいては、代行者の報酬や実費を確保する目的で役員報酬の6か月分相当の費用の予納が必要です。予納金の金額は、会社の規模や職務代行者の職務内容によって異なり、事件ごとに裁判官が判断を行います。
予納金の納付方法については、通常の民事予納金の納付手続と同じです。
カ 立担保証明書の提出
a 現金や有価証券を供託する方法又は支払保証委託契約を締結する方法により担保を立てた場合は、担保を立てたことの証明書を提出してください。
b 現金や有価証券を供託した場合は、供託書正本及びその写しを提出してください。
c 支払保証委託契約を締結する方法の場合は、支払保証委託契約を締結した銀行等の支店長等が契約書の写しに「この支払保証委託契約が締結されていることを証明します。」という文言を記載した支払保証委託契約締結証明書を提出してください。
キ 誓約書の提出
職務代行者選任申立てでは、立担保証明書とともに、上記オについて追納命令が出たときは直ちに仮処分事件の費用を予納し、予納できないときは当該申立てを取り下げる旨の誓約書を提出してください。
ア 即時抗告
(ア) 抗告期間
保全命令の申立てを却下する裁判に対しては、即時抗告をすることができます。
即時抗告期間は、債権者が裁判の告知を受けた日から2週間です(民事保全法19条1項)。
(イ) 申立書の提出
即時抗告の申立書の提出先は、ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷事務室です。可能であれば、対象となる決定書の写しを添付してください。
(ウ) 申立手数料
(7)の基準で算出した額の1.5倍(2,000円であればその1.5倍の3,000円)になります(民事訴訟費用等に関する法律3条1項、別表第一18(1))。
イ 保全異議の申立て
(ア) 申立期間
保全命令の申立てを認容する裁判に対しては、保全異議を申し立てることができます。申立期間に制限はありません(民事保全法26条)。
(イ) 申立書の提出
保全異議の申立書の提出先は、ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷事務室です。可能であれば、対象となる決定書の写しを添付してください。
(ウ) 申立手数料
500円(民事訴訟費用等に関する法律3条1項、別表第一17ハ)。
ウ 保全取消しの申立て
(ア) 申立期間
保全命令が発令された後、事情の変更等によって取消事由が発生した場合には、保全取消しを申し立てることができます。申立期間に制限はありません(民事保全法37条から39条)。
(イ) 申立書の提出
保全取消しの申立書の提出先は、ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷事務室です。可能であれば、対象となる決定書の写しを添付してください。
(ウ) 申立手数料
500円(民事訴訟費用等に関する法律3条1項、別表第一17ハ)
ア 認容決定がされた場合
速やかに(民事保全法43条2項;保全執行は債権者に送達後2週間以内にしなければならない。)法人の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する法務局へ嘱託する必要があるため(民事保全法56条)、債権者は登録免許税として収入印紙6万円(職務執行停止分3万円、代行者選任分3万円(登録免許税法別表第一の二十四の(一)タ))を、嘱託手続に必要な郵券と共に直ちに納付してください。
イ 職務代行者の任務の終了
職務代行者の任務が終了したときは、職務代行者の登記の抹消登記をします。
本案訴訟の認容判決が確定しても職務代行者は当然にその地位を失うものではなく、保全命令申し立ての取り下げまたは保全取り消しの申し立てに基づいて原決定が取り消されて初めてその地位を失います。ただし、本案訴訟の認容判決が確定したときは、本案訴訟の担当書記官が保全命令の基礎となった株主総会決議の取消し(無効又は不存在)等の登記の嘱託を行い、これにより総会で選任された取締役等の登記は抹消されるので、それに伴い登記官は職務代行者の登記を職権で抹消することとなります(これは、認容判決により職務執行停止を受けている取締役等の登記が抹消されて従前の取締役等の登記が復活するので、職務代行者の登記の基礎を欠くことになるからです。)。そのため、保全裁判所としての抹消登記嘱託は不要になりますが、本案事件の終了と保全事件の終了とは別個であり、職務代行者への報酬の支払との関係でも、債権者からの取下書の提出が必要になります。
原告(債権者)敗訴の判決が確定したときも、債権者から取下書を提出していただき、抹消登記の嘱託をします。仮に債権者が取下書を提出しないときには、債務者からの事情変更による保全取消しの申立てに基づき、裁判所が取消決定をし、それに基づき抹消登記の嘱託をします。
当部で発令した商事保全事件の担保を取り戻したいときは、担保取消の手続きをしてください。
手続きに必要な書類は「担保取消申立てに必要な書類一覧」を参照ください。
当係で取り扱う以下の手続の申立書は、ビジネス・コート(中目黒庁舎)2階にある民事訟廷事務室で受付けます。郵送で提出する場合の宛先は「〒153-8626 東京都目黒区中目黒2-4-1 東京地方裁判所中目黒庁舎 民事訟廷事務室 事件第二係」です。
このうち知的財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等)に関するものは知的財産権部が担当します。知的財産権に関する仲裁関係事件については、知的財産権部にお問い合わせください。
ア 書面の送達をする旨の決定(仲裁法12条2項)
イ 仲裁人の数の決定(仲裁法16条3項)
ウ 仲裁人の選任(仲裁法17条2項から5項)
エ 仲裁人の忌避(仲裁法19条4項)
オ 仲裁人の解任(仲裁法20条)
カ 仲裁廷の仲裁権限の有無についての判断(仲裁法23条5項)
キ 裁判所による証拠調べの実施(仲裁法35条1項)
ク 仲裁判断の取消し(仲裁法44条1項)
ケ 仲裁判断の執行決定(仲裁法46条1項)
コ 暫定保全措置命令の執行等認可決定(仲裁法47条1項)
サ 暫定保全措置命令に係る違反金支払命令(仲裁法49条1項)
前記アの事件
①当事者が合意により定めた地方裁判所(仲裁法12条4項、5条1項1号)
②仲裁地(当事者が合意により定めた地方裁判所の管轄区域のみに属する地域を仲裁地として定めた場合に限る。)を管轄する地方裁判所(仲裁法12条4項、仲裁法5条1項2号)
③名宛人の住所、常居所、営業所、事務所又は配達場所の所在地を管轄する地方裁判所(仲裁法12条4項)
前記イからカ、クの事件
①当事者が合意により定めた地方裁判所(仲裁法5条1項1号)
②仲裁地(当事者が合意により定めた地方裁判所の管轄区域のみに属する地域を仲裁地として定めた場合に限る。)を管轄する地方裁判所(仲裁法5条1項2号)
③当該事件の被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(仲裁法5条1項3号)
④仲裁地が日本国内にあるときは、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所(仲裁法5条2項)
前記キの事件
①仲裁地(当事者が合意により定めた地方裁判所の管轄区域のみに属する地域を仲裁地として定めた場合に限る。)を管轄する地方裁判所(仲裁法35条3項1号、5条1項2号)
②尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の住所若しくは居所又は検証の目的の所在地を管轄する地方裁判所(仲裁法35条3項2号)
③申立人又は被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(前記②に掲げる裁判所がない場合に限る。)(仲裁法35条3項3号)
④東京地方裁判所及び大阪地方裁判所(仲裁法35条3項4号)
前記ケの事件
①当事者が合意により定めた地方裁判所(仲裁法46条4項1号、5条1項1号)
②仲裁地(当事者が合意により定めた地方裁判所の管轄区域のみに属する地域を仲裁地として定めた場合に限る。)を管轄する地方裁判所(仲裁法46条4項1号、5条1項2号)
③当該事件の被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(仲裁法46条4項1号、5条1項3号)
④請求の目的又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所(仲裁法46条4項2号)
⑤東京地方裁判所及び大阪地方裁判所(仲裁地、被申立人の普通裁判籍の所在地または請求の目的若しくは差し押さえることができる被申立人の財産の所在地が日本国内にある場合に限る。)(仲裁法46条4項3号)
前記コの事件
①当事者が合意により定めた地方裁判所(仲裁法47条4項1号、5条1項1号)
②仲裁地(当事者が合意により定めた地方裁判所の管轄区域のみに属する地域を仲裁地として定めた場合に限る。)を管轄する地方裁判所(仲裁法47条4項1号、5条1項2号)
③当該事件の被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(仲裁法47条4項1号、5条1項3号)
④請求の目的又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所(仲裁法47条4項2号)
⑤東京地方裁判所及び大阪地方裁判所(仲裁地、被申立人の普通裁判籍の所在地又は請求の目的若しくは差し押さえることができる被申立人の財産の所在地が日本国内にある場合に限る。)(仲裁法47条4項3号)
前記サの事件
執行等認可決定をした裁判所及び仲裁法47条1項の申立て(同項第2号に係るものに限る。)に係る事件が係属する裁判所(仲裁法49条3項)
前記クからサの事件 4,000円(民事訴訟費用等に関する法律3条1項、別表第1の8の2)
前記アからキの事件 1,000円(民事訴訟費用等に関する法律3条1項、別表第1の16のイ)
申立書には、次に掲げる事項を記載してください。また、申立書には、立証を要する事由につき、証拠書類の写しを添付してください。
ア 当事者の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所
イ 申立ての趣旨
ウ 申立てを理由づける具体的事実
エ 立証を要する事由ごとの証拠(仲裁係事件手続規則2条)
オ 申立人又は代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)
商事部に所属する裁判官/書記官の執筆した論文等の一覧です。
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