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ア.保全執行の取消原因及び執行取消しの方法の概略(3番窓口)
【表4】
取消原因 | 登記・登録の方法による保全執行 | 債権等についての保全執行 | |
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【1】 | 保全命令の申立ての取下げ | (1)規則4Ⅱの債務者に通知 (2)抹消登記を嘱託 | (1)規則4Ⅱの債務者に通知 (2)第三債務者に通知 |
【2】 | 保全執行の申立ての取下げ | (1)規則4Ⅳの債務者に通知 (2)抹消登記を嘱託 | (1)規則4Ⅳの債務者に通知 (2)第三債務者に通知 |
【3】 | 規則48条の抹消登記嘱託の申立て | 抹消登記等を嘱託 |
取消原因 | 登記・登録の方法による保全執行 | 債権等についての保全執行 | |
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【1】 | 解放金供託 | (1)保全執行取消しの申立て (2)保全執行取消決定・当事者双方に告知 (3)抹消登記等嘱託 | (1)保全執行取消しの申立て (2)保全執行取消決定・当事者双方に告知 (3)第三債務者等に通知 |
【2】 | 追加担保の不提供 | ||
【3】 | 保全命令の申立ての取下げを証する裁判所書記官の作成した文書の提出(民保法46、民執法39Ⅰ【3】) | ||
【4】 | 保全執行をしない旨等を記載した裁判上の和解等の調書正本の提出(民保法46、民執法39Ⅰ【4】) | ||
【5】 | 保全命令を取り消す決定(民保法46、民執法39Ⅰ【1】) | (1)保全執行取消しを求める上申書 (2)抹消登記等を嘱託 | (1)保全執行の取消しを求める上申書 (2)第三債務者等に通知 |
取消原因 | 登記・登録の方法による保全執行 | 債権等についての保全執行 | |
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【1】 | 保全執行に対する第三者異義訴訟の執行力のある判決正本の提出(民保法46、民執法39Ⅰ【1】) | (1)保全執行取消しの申立て (2)保全執行取消決定・当該第三者及び当事者双方に告知 (3)抹消登記等嘱託 | (1)保全執行取消しの申立て (2)保全執行取消決定・当該第三者及び当事者双方に告知 (3)第三債務者等に通知 |
取消原因 | 登記・登録の方法による保全執行 | 債権等についての保全執行 | |
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【1】 | 債務者の破産(破産法42Ⅱ) | (1)債務者につき、破産手続開始決定がなされた旨の上申書(保全執行取消決定はしない) (2)債権者に通知 (3)破産管財人が、目的物の任意売却をして、その所有権移転登記をした後に抹消登記等の嘱託を求める上申書が提出された場合等に抹消登記等嘱託 | (1)債務者につき、破産手続開始決定がなされた旨の上申書(保全取消決定はしない) (2)債権者、第三債務者等に通知 |
イ. 保全命令申立ての取下げに必要な書類等一覧表
【表5】
執行取消しの対策 | 提出書類等 |
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不動産(抹消登記が必要な時) | 取下書
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登記権利者義務者目録(法務局用) 法務局1箇所につき 2通 (債権者が登記義務者、債務者が登記権利者になります。) | |
物件目録(法務局用) 法務局1箇所につき 2通 ※ 上記法務局用の目録の数字は、平成16年11月1日から、A4横書きの場合にはアラビア数字使用可。 | |
予納郵券
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登録免許税(収入印紙) 物件1個(区分所有建物につき、敷地権は1筆につき1個と数える)につき 1,000円。但し、物件が法務局1箇所につき20筆以上の場合については定額20,000円 | |
不動産全部事項証明書 (保全処分発令後3年を経過した事件、及び、登記に変更がある場合に必要です。不動産全部事項証明書は1か月以内のもの) | |
滞納処分庁がある場合 | (滞納処分庁への通知のため)
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不動産(抹消登記が「不要」の時。例、占有移転禁止、競売により抹消済み等) | 取下書
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予納郵券
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不動産全部事項証明書(交付日は1か月以内のもの) 競売により抹消されているときは必要です。 | |
債権等 | 取下書
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予納郵券
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滞納処分庁がある場合 | (滞納処分庁への通知のため)
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当事者につき氏名,住所,商号,本店所在地,代表者等の変更がある場合は,住民票・商業登記事項証明書(交付日は1か月以内のもの)を提出してください。
保全命令から5年以上経過している事件については、記録が決定原本以外廃棄されているため,上記の書類の他,債権者の印鑑証明(本人による申立ての場合)または委任状(代理人による申立ての場合)と、債権者・債務者・第三債務者の住民票または戸籍の附票(個人の場合)・資格証明類(法人の場合)を提出してください(証明書等の交付日は1か月以内のもの)。
保全命令から10年以上経過している場合は,決定原本も廃棄されていますので,決定正本をお持ちの場合は,決定正本とその写しを提出願います。決定正本は,照合の上返却します(保全命令正本がない場合,又は写しがない場合は,紛失等の理由を記載した上申書が必要です)。不動産仮差押えの場合は,当該物件の他に仮差押物件がないことの上申書が必要です。
債務者・第三債務者の宛名シールをご持参ください。(特に,多人数の場合には,必ず宛名シールをご用意ください。)。
ウ. 保全命令申立ての取下げ
債権者は,自ら保全命令の申立てを取り下げることにより,その効果を遡及的に消滅させることができます。
発令裁判所が執行機関となる保全執行(不動産仮差押えなど)については,保全命令の取下書が提出されると保全執行申立ての取下げも同時になされたものとして取り扱われるので,別途保全執行申立ての取下書の提出を要しません。
また,保全執行申立てだけを取り下げることは認められないと解されています。
- 【書式14-1】保全命令申立取下書(債権仮差押の取下げ)
- 【書式14-2】保全命令申立取下書(不動産仮差押・仮処分の取下げ)
- 【書式14-3】登記権利者義務者目録
- 【書式15】保全執行申立取下書
エ. 保全命令申立ての取下げについてのQ&A
- 1 当事者の住所が保全命令発令時から変わっているときは,どのような書類が必要ですか。
-
保全命令発令時の住所から現住所までのつながりが分かる住民票(除票)または戸籍の附票が必要です。
取下書に添付する当事者目録には,現住所を記載します。
- 2 当事者が法人で,本店所在地や商号が保全命令発令時から変わっているときは,どのような書類が必要ですか。
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保全命令発令時の本店所在地や商号から現在のものまでのつながりが分かる商業登記事項証明書(閉鎖事項証明書,履歴事項証明書)が必要です。
取下書に添付する当事者目録には,所在地については現在の所在地のみ,商号については保全命令発令時のものと現在のものを併記します。 -
(例)○○県○○市○○町○○番○○号
債権者○○○○株式会社
(仮差押決定時の商号(名称)○○○○株式会社)
上記代表者代表取締役○○○○
- 3 当事者が法人で,代表者が保全命令発令時から変わっているときは,どのような書類が必要ですか。
- 現在の代表者の資格を証明する文書(資格証明書,商業登記事項証明書)が必要です。なお,この場合には,取下書には,現在の代表者の氏名を記載してください。
- 4 債務者が破産している場合にはどのような書類が必要ですか。
- 破産管財人の資格証明書と破産手続の開始決定正本(資格証明書に破産決定の日付の記載があれば不要です。)が必要です。
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(取下書に添付する当事者目録の記載例)
東京都○○区○○町○○番○○号○○法律事務所
(破産者住所 東京都○○区○○町○○番)
債務者 破産者○○○○破産管財人弁護士○○○○
- 5 当事者が死亡している場合にはどのような書類が必要ですか。
- 被相続人の戸籍の附票及び出生から死亡までの戸籍謄本のほか,相続人を確定するのに必要な戸籍謄本及び相続関係図が必要です。相続人については,本籍の記載のある住民票又は戸籍の附票も必要です。
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取下書に添付する当事者目録には,相続人全員の記載が必要です。債権者が被相続人の場合には,相続人全員からの取下申請が必要です。債務者が被相続人の場合には,相続人全員に対して取下げの通知をします。
(取下書に添付する当事者目録記載例)
東京都○○区○○町○○番○○号
債務者 亡○○○○承継人○○○○
- 6 保全命令が発令されてから長期間経過している事件の取下げをしようと思いますが,通常の取下げと異なるところはありますか。
- 保全事件記録(決定原本以外)は,原則として5年で廃棄されることになっており,保全命令が発令されてから5年を経過している場合には,通常の必要書類のほか,次のものが必要になります。
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・委任状(代理人による申立ての場合)・印鑑証明書(本人申立ての場合)
・各当事者の商業登記事項証明書(法人の場合)・住民票(自然人の場合)(1か月以内のもの) - 保全命令の決定原本は10年で廃棄されますので,保全命令が発令されてから10年を経過している場合には,上記に加えて決定正本の写しをご提出いただきます。窓口で決定正本と照合の上,決定正本はお返しいたします。(決定正本がない場合,又は写ししかない場合は,紛失等の理由を記載した上申書が必要です。なお,保全命令の対象となる物件について,当該物件の他にないかどうか事前にご確認ください。
- 不動産仮差押え及び不動産処分禁止仮処分の場合は,保全命令が発令されてから3年を経過したものについては,不動産全部事項証明書(1か月以内のもの)が必要です。
- 7 取下げをしたことの証明は受けられますか。
- 取下書の提出時には取下書が提出されたことだけを証明する取下書提出証明を,取下書の審査後,適法な取下げと判断された場合(審査には若干日数を要する場合もあります),取下書受理証明をいたします。
- 受付窓口で取下書提出証明を求めるときは,取下書提出証明申請書に取下書の写しを添付したもの(正本,副本の各1通)を用意して申請してください。なお,証明申請手数料として,150円の収入印紙が必要になります。
- 8 競売等によって仮差押えの登記が抹消され,保全事件を取り下げる場合には,どのような書類が必要ですか。
- 仮差押えの登記とその抹消の登記の両方が記載されている登記事項証明書が必要になります。
- さらに,取下書の本文中に,「仮差押えの登記は競売により抹消済みである」旨を記載してください。なお,仮差押えの登記が抹消済みである場合は,法務局に対する抹消嘱託用の収入印紙と郵便切手は不要です。
- 9 保全命令申立時は代理人が就いていたが,本人が取り下げるときは,どのような書類が必要ですか。
- 取下書は,取下げをする本人の印鑑(印鑑証明のあるもの)を使用して作成し,印鑑証明書を添付してください。ただし,記録中にある委任状に押してある印鑑と同じ印鑑で取下書を作成する場合は印鑑証明書は不要です。
- 10 取下書にとじる当事者目録等は,割印ではなく,丁数(ページの表示)に代えることができますか。
- 従前より,文書が連接していることを証明するため,ページとページの間にまたがらせて印(割印)を押して頂いていますが,取下書にページ数の表示がある場合には,文書が連接していることが分かるので,これに加えて割印を押して頂かなくても構いません。
- 11 取下書を提出する場合の,登記権利者・義務者目録は,どのように記載するのですか。
- 取下げの場合,登記権利者は債務者,登記義務者は債権者となります。不動産登記記録に記載してあるとおりに,住所,氏名(法人名)を記載してください。したがって,法人の代表者の氏名や代理人の住所氏名,郵便番号の記載は不要です。また,仮差押(仮処分)の登記後に,住所や氏名(法人名)に変更があった場合でも登記記録に反映されていない以上,その変更を考慮した目録を作成する必要はありません。
- 12 不動産の仮差押え又は仮処分の保全命令の取下げを検討していますが,保全命令が発令されてから長期間経過している事件で,決定正本も見あたらず,事件番号も分かりません。取下げをするに当たって,どのようにすればよいですか。
- 不動産に仮差押(又は仮処分)の登記がされた事件であれば,取下書の冒頭に「昭和 年(ヨ)第 号」等と事件番号を空欄で記載し,その下に,不動産全部事項証明書を確認の上,仮差押又は仮処分の登記受付年月日・受付番号,登記の目的を記載(例:東京法務局昭和40年7月31日受付第2500号処分禁止仮処分登記)して特定してください。取下書を裁判所に提出する際には,不動産全部事項証明書(発行後1か月以内のもの)も一緒に提出してください。
- 13 債権者が不動産仮差押(仮処分)命令申立事件の取下げをしました。仮差押(仮処分)の登記が抹消されるまでに,どのくらいの時間がかかりますか。
- 取下書に不備等がなければ,原則として,取下書を受け付けた翌開庁日に,管轄の法務局に対して,仮差押(仮処分)登記の抹消の嘱託書を発送しています。抹消までの期間については,管轄の法務局にお問い合わせください。
- (※裁判所の繁忙状況によっては,必ずしも翌開庁日に抹消の嘱託書を発送できないことがあります。)
- 14 債権者が債権仮差押命令申立事件の取下げをしました。金融機関の口座が使用できるようになるまでに,どのくらいの期間がかかりますか。
- 取下書に不備等がなければ,取下書を受け付けた翌開庁日に,金融機関に対して,取下通知書を発送しています。取下通知書が届いた後は,金融機関で内部処理がされることになりますので,詳しくは該当する金融機関にご確認ください。
- (※ 裁判所の繁忙状況によっては,必ずしも翌開庁日に取下通知書を発送できないことがあります。)