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担保権,被担保債権・請求債権目録(担保不動産競売)の書き方

1 担保権目録の記載について

担保権の特定には,原則として(a)設定日,(b)権利の内容,(c)登記事項を記載する。

(1) 抵当権

  • 設定日と権利の内容を記載する。移転や変更等がある場合も記載する。
     「令和○○年○○月○○日設定の抵当権」
     「令和○○年○○月○○日設定,令和○○年○○月○○日移転の抵当権」
  • 登記事項を記載する。移転や変更等がある場合も記載する。
     「登記 東京法務局○○出張所 令和○○年○○月○○日受付○○○号」

(2) 根抵当権

  • 設定日と権利の内容を記載するが,抵当権の場合の記載に加え,極度額と債権の範囲を記載する。
    「令和○○年○○月○○日設定の根抵当権
     極度額 金○○○万円
     債権の範囲 ○○取引,○○債権」
  • 登記事項は抵当権の場合と同様

2 被担保債権・請求債権目録の書き方

【被担保債権を全額請求する場合】

記載内容としては,(a)債権を特定するに足る事項,(b)弁済期となる。なお,根抵当権の実行の場合は,請求する金額(確定部分)が極度額を超えるか超えないかについて目録の冒頭に記載する。

  • 極度額を超えない場合
     「下記債権のうち極度額金○○○万円に満つるまで」
  • 極度額を超える場合
     「下記債権のうち極度額金○○○万円の範囲」
債権の具体例
  • 貸金(元金)
    原則として,請求金額,貸付日,貸付金額を記載する。
     「元金 金○○○万円 ただし,令和○○年○○月○○日付金銭消費貸借契約に基づく貸付金」
     「元金 金○○万円 ただし,令和○○年○○月○○日付金銭消費貸借契約に基づく貸付金○○○万円の残元金」
  • 附帯債権(利息・損害金)
    ・利息については請求金額,対象元金,対象期間,利率を記載する。
    「利息 金○○万円 ただし,上記元金○○○万円に対する,令和○○年○○月○○日から令和○○年○○月○○日まで,約定の年○.○パーセントの割合による利息金」
    ・損害金についても,基本的に利息と同様である。
    「損害金 ただし,上記元金○○○万円に対する,令和○○年○○月○○日から支払済みまで年○.○パーセントの割合による遅延損害金」
弁済期の具体例
  • 一括弁済の場合
    原則として貸金(元金)の末尾に「(弁済期 令和○○年○○月○○日)」と記載すればよい。
  • その他の場合には目録の末尾に記載する。
    「債務者は,令和○○年○○月○○日に支払うべき分割金の支払を怠ったので,特約により同日の経過をもって期限の利益を失った。」

【被担保債権の一部について担保権を実行する(一部請求)場合】

被担保債権としてすべての債権を掲げ,請求債権を別項として記載することとなる。

3 記載例

【被担保債権を全額請求する場合】

抵当権
  1. 担保権
    (1) 令和○○年○○月○○日設定の抵当権
    (2) 登記 東京法務局○○出張所
     令和○○年○○月○○日受付第9132号
  2. 被担保債権及び請求債権
    (1) 元金 金○○○○万円
     ただし,令和○○年○○月○○日の金銭消費貸借契約に基づく貸付金(弁済期令和○○年○○月○○日)
    (2) 利息 金○○○万円
     ただし,上記元金に対する,令和○○年○○月○○日から令和○○年○○月○○日まで,約定の年○パーセントの割合による利息金
    (3) 損害金
     ただし,上記元金に対する,令和○○年○○月○○日から支払済みまで,約定の年○○パーセントの割合による遅延損害金
根抵当権
  1. 担保権
    (1) 令和○○年○○月○○日設定,令和○○年○○月○○日移転の根抵当権
     極度額 金○○○○万円
     債権の範囲 ○○取引,○○債権
    (2) 登記 東京法務局○○出張所
     主登記 令和○○年○○月○○日受付第○○○号
     付記登記 令和○○年○○月○○日受付第○○○号
  2. 被担保債権及び請求債権
    下記債権のうち極度額金○○○○万円に満つるまで
    (1) 元金 金○○○万円
     ただし,令和○○年○○月○○日の金銭消費貸借契約に基づく貸付金○○○万円の残元金
    (2) 損害金
     ただし,上記元金○○○万円に対する,令和○○年○○月○○日から支払済みまで,約定の年○○パーセントの割合による遅延損害金
     債務者は,令和○○年○○月○○日に支払うべき分割金の支払を怠ったので,特約により同日の経過をもって期限の利益を失った。

【被担保債権の一部について担保権を実行する(一部請求)場合】

担保権
  1. 担保権
    (1) 令和○○年○○月○○日設定の根抵当権
     極度額 金○億円
     債権の範囲 ○○取引,○○債権
    (2) 登記 東京法務局○○出張所
     令和○○年○○月○○日受付第○○○○号
  2. 被担保債権
     下記債権のうち極度額金○億円に満つるまで
    (1) 元金 金○億円
     ただし,令和○○年○○月○○日の金銭消費貸借契約に基づく貸付金の残元金
    (2) 損害金
     ただし,上記元金○億円に対する,令和○○年○○月○○日から支払済みまで,約定の年○○パーセントの割合による遅延損害金
  3. 請求債権
    (1) 元金 金○億円
     ただし,上記被担保債権元金○億円の内金
    (2) 損害金
     ただし,上記内金に対する,令和○○年○○月○○日から支払済みまで,約定の年○○パーセントの割合による遅延損害金
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