不動産引渡命令の申立てについて

 競売物件の引渡命令の申立てをされる買受人の方には,以下の要領に従って申立てをされるよう,ご協力をいただいております。

(重要)
 執行裁判所で行う手続(代金納付以降の手続を含みます。)については,事案に精通する買受人の業務担当者や親族等が執行裁判所の許可を受けて代理人となることができます(許可代理人・民執法13条)。しかしながら,従業員でない者が書類作成事務を行った場合,事案によっては裁判所の許可を受けずに,代理人として不動産引渡命令の申立てをしたと評価され,弁護士法72条及び民執法13条に反する違法な申立てとして却下されることがあります。

1 申立ての期間等

(1)所有者及び民法395条1項の明渡猶予が認められない占有者を相手方とする場合

 執行裁判所における代金納付手続が完了すれば,引渡命令の申立てをすることができます。

 申立ての期間は,代金納付の日から6か月以内です。ただし,代金納付時に民法395条1項の明渡猶予が認められる使用者が占有していた建物についての申立ての期間は,代金納付の日から9か月以内です。

(2)民法395条1項の明渡猶予が認められる占有者を相手方とする場合

 民法395条1項により,代金納付の日から6か月間の明渡猶予が認められる占有者については,その期間が経過した後でないと申立てはできません。

 ただし,明渡猶予を認められた者が,その猶予期間中,建物を使用したことの対価の支払を1か月分以上怠り,買受人から相当の期間を定めて1か月分以上の支払を催告されたにもかかわらずその支払をしないときは,猶予期間中であっても引渡命令の申立てができます(民法395条2項)。この場合には,申立時に下記3(7)記載の書類が必要となります。

2 申立ての対象

 引渡命令は,買い受けた物件を現実に占有している者の占有を排除するための手続であり,基本的には,物件明細書の記載を前提として審理され,そこに記載されている占有関係に変更がなければ,原則として物件明細書の4欄(物件の占有状況等に関する特記事項)記載の者に対して発令されます。申立てをするときは,買い受けた物件のうち,建物の敷地である土地部分(マンション等の区分所有建物の敷地権の部分も含む。)等,引渡命令の発令を受ける必要のない物件は申立てから除いてください。

【案内】物件明細書等に記載されていない者を相手方とする申立てについて

3 必要書類

(1)不動産引渡命令申立書(A4版 横書き)

 不動産引渡命令申立書とは,【不動産引渡命令申立書】,【当事者目録】及び【物件目録】の各用紙を一体とし(それぞれに契印を押す),その書類の左端の2か所をホッチキスで綴じ,冒頭の不動産引渡命令申立書の申立人の名前の横に申立人の印を押したものを言います。

 申立人の名前の下には,必ず連絡先電話番号(法人の場合は電話番号及び担当者名・部課名)を記載し,申立書の各用紙の上部余白には捨て印を押してください。

 物件目録は,代金納付期限通知書添付の物件目録などを参考に,建物の敷地部分など不要な物件を除いて,作成してください。

 なお,申立書に押印する印鑑は,買受申出の際に使用したもの(入札書又は代金納付手続に使用した印)を使用してください。

 なお,民法395条1項の明渡猶予が認められている相手方に対して,前記1(2)の状況があることを理由に,その明渡猶予期間前に申立てをする場合は,申立書副本(収入印紙を貼らない状態の申立書。押印は必要)も必要となります。

(2)申立手数料(貼用印紙)

 相手方の数×500円分の収入印紙を【不動産引渡命令申立書】の上部に貼付してください。なお,収入印紙は割印しないでください。

(3)予納郵便切手

 (110円×申立人の人数)+(1,220円×相手方の数)

 なお,民法395条1項の明渡猶予が認められている相手方に対して,前記1(2)の状況があることを理由に,その明渡猶予期間前に申立てをする場合,その他相手方の審尋を必要とする場合,また相手方に対して再送達をする場合などには,上記の郵便切手の他に,郵便切手の追加をお願いすることがあります。

(4)図面の写し(コピーで可)

 引渡しの対象が建物の一部である等,対象を特定するために不動産引渡命令申立書に図面を使用した場合には,その図面の写しを,当事者(申立人及び相手方)の数に1を加えた数だけ,申立書とともに提出してください。

 なお,図面の写しに押印やページ記載はしないでください。

 ※ 図面を利用する場合には,物件目録中の図面を必要とした物件の表示の次に,「上記のうち別紙図面斜線部分」等と記載し,当該図面中の引渡しの対象とする部分を斜線等で明示してください。

(5)資格証明書

 申立人もしくは相手方が法人の場合は,申立書ごとに,それぞれの資格証明書(商業登記事項証明書等)が必要になります。資格証明書は,申立前1か月以内のものを提出してください。

(6)調査報告書(相手方が所有者以外の占有者の場合で,物件明細書の占有認定と違う場合のみ提出)

 事件の記録上に現れてこない占有者,たとえば差押後の占有者等がいる場合に,その者の占有開始時期や占有の事実を証する書面

 ※ 調査報告書の作成にあたっては,添付の「物件明細書等に記載されていない者を相手方とする申立てについて」を参考にしてください。

(7)支払の催告をしたことを証明する書類の写し

 民法395条1項の明渡猶予が認められる相手方に対して,前記1(2)の状況があることを理由に,その明渡猶予期間前に申立てをする場合は,支払の催告をしたことを証明する書類(内容証明郵便及び配達証明書等)などの写しが必要となります。

(8)受書(申立時に提出)

 この受書を提出した申立人には,引渡命令が発令されると,引渡命令正本を普通郵便で送付します。特別送達による送付を希望される場合は,前記(3)の郵便切手額110円が1220円となります。

4 相手方が複数の場合の注意

 相手方が複数の場合は,1通の申立書で申立てをするのではなく,なるべく相手方ごとに申立書を作成するようにしてください。

5 申立て時のお願い

来庁の際には申立書に押した印鑑を持参してください。

物件明細書の写しを取得された方は持参してください。

なお,申立前における発令の可否に関するお問い合わせには,応じられません。

【案内】引渡命令申立てから強制執行申立てまでの手続の流れ

(参考)

 下記は,申立書以外の必要書類等について,申立人及び相手方が各1名である場合を前提としてまとめたものです。参考にしてください。

(申立人・相手方各1名の場合)
金額・部数等

申立手数料
500円の収入印紙
予納郵便切手
110円×1組,1,220円×1組
図面の写しが必要な場合
3部
申立人もしくは相手方が法人等の場合は,代表者の資格証明書(申立前1か月以内のもの)を添付する。
物件明細書の占有認定と違う場合は調査報告書を添付する。

 このほかに,(1)明渡猶予が認められる占有者を相手方とする場合,(2)その他相手方の審尋を必要とする場合には,以下の書類が必要です。

(1),(2)の場合
申立書副本,予納郵便切手1,290円×1組
(1)の場合
使用の対価について,支払の催告をしたことを証明する書面の写し
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      10. 担保権,被担保債権・請求債権目録(担保不動産競売)の書き方
      11. 請求債権目録(強制競売用)の書き方
      12. 物件目録の書き方
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      22. 売却係の扱う事務について
      23. 無剰余取消しを回避する方法について
      24. 地代代払許可の申立方法について
      25. 担保不動産競売(強制競売)事件の取下げについて
      26. 配当金等の支払・予納金の還付手続について
      27. 配当見込額FAX照会,配当金等支払請求書の郵便提出及び配当表等写しの請求について
      28. 配当金等支払請求書記載上の注意事項等
      29. 保全処分,執行異議の申立てについて
      30. 申立債権者以外の債権者の方へ
      31. 債権届出について
      32. 債務者(所有者)の方へ
      33. 執行抗告,執行異議の申立てについて
      34. 買受人(買受希望者)の方へ
      35. 入札保証金の還付手続について
      36. 特別売却による買受けの申出手続について
      37. 売却代金の口座振込みの利用について
      38. 民事執行法82条2項による登記嘱託書交付手続の申出をされる方へ
      39. 不動産引渡命令の申立てについて
      40. 物件明細書に記載されていない者を相手方とする引渡命令の申立てについて
      41. 引渡命令の申立てから強制執行の申立てまでの手続の流れ
      42. 引渡命令に対する執行文付与,送達証明申請について
      43. 開始手続(担当:不動産開始係)
      44. 物件明細手続(担当:物件明細係)
      45. 不動産売却手続,不動産競売事件取下手続(担当:売却・取下係)
      46. 売却手続(担当:売却係)
      47. 不動産配当手続(担当:不動産配当係)
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      61. 当事者目録について
      62. 債権配当係
      63. 配当異議の申出をする方法
      64. 配当異議訴訟終了後の手続
      65. 仮差押債権者の配当金受領方法
      66. 事情届の不受理申請の方法
      67. 債務者の供託金の支払委託
      68. 財産開示手続
      69. 雇用関係先取特権証明文書
      70. インターネットによる3点セット提供(BITシステム)について
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      72. 競売不動産の買受手続
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    7. 民事第22部(調停・借地非訟・建築部)
    8. 借地非訟事件について
      1. 第1 借地非訟とは
      2. 第2 借地非訟事件手続の流れ
      3. 第3 費用
    9. 借地非訟事件(書式例)
    10. 民事第22部建築訴訟事件について
    11. 共有に関する事件(非訟事件手続法第三編第一章)、土地等の管理に関する事件(非訟事件手続法第三編第二章)
    12. 民事第27部(交通部)
    13. 東京地方裁判所(民事部)
    14. 担当裁判官一覧
      1. 東京地方裁判所(刑事部)担当裁判官一覧
      2. 東京地方裁判所(民事部)担当裁判官一覧
      3. 東京地方裁判所立川支部 担当裁判官一覧
      4. 管内の簡易裁判所(東京簡易裁判所を除く)担当裁判官一覧
    15. 庁舎案内図
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    17. 民事第29部・第40部・第46部・第47部(知的財産権部)
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      10. 秘密保持命令の申立てについて
      11. 営業秘密に関する当事者尋問等の公開停止について
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      1. 証明申請等の書式例
      2. よくある質問
    19. 民事第8部(商事部)
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      4. 商事保全命令申立事件における処理手続概要図
      5. よくある質問(Q&A)
      6. 商事保全事件申立書類一覧
      7. 担保取消申立てに必要な書類一覧