過料決定についてのQ&A

過料決定を受け取られた方から,よくいただくご質問についてお答えします。

*過料全般について
1.過料とはどのようなものでしょうか。
過料とは,行政上の秩序の維持のために違反者に制裁として金銭的負担を課すものです。刑事事件の罰金とは異なり,過料に科せられた事実は,前科にはなりません。
2.過料決定に不服がある場合は,どうしたらよいでしょうか。
過料決定に対しては,例えば,裁判所の認定した事実に誤りがある,過料の対象となった行為について特別の理由(※)があるといった不服がある場合には,決定謄本を受け取った日から1週間以内であれば,「異議の申立て」ができます(1週間以内に異議の申立てがなければ,この裁判は確定して,不服の申立てはできなくなります。)。
「異議の申立て」は,決定謄本を受け取った日から1週間以内(裁判所必着)に,過料決定をした裁判所宛てに,異議申立書を提出して行う必要があります(適法な異議の申立てがあれば,改めて過料についての裁判が行われます。)。
異議申立書には,こちら(PDF:63KB)の書式を利用し,1事件番号,住所・氏名,電話番号,2決定謄本を受け取った日,3異議理由を記載の上,4証拠書類(写し)を添付してください。
(※)特別の理由について
例えば,法人の役員の選任や登記を怠ったことを理由とする過料決定(以下「商事過料」といいます。)については,「登記の手続を知らなかった」「忘れていた」「忙しかった」「他人に任せていた」等の理由では,特別の理由があると認められることは,ほとんどありません。
     
3.過料決定に「被審人を過料金○円に処する」とありますが,過料金額はどのように決められるのでしょうか。
法律で定められた金額の範囲内で裁判所が判断しています(例えば,会社法では,過料の金額は100万円以下と定められています。)。
4.過料をすぐに支払いたいのですが,どうしたらよいでしょうか。
過料の徴収は,検察庁が行います。後日(通常は,受領されてから2か月後程度),検察庁から通知がありますので,その指示に従ってください。
*法人の役員の選任懈怠・登記懈怠を理由とする過料決定(商事過料)について
5.なぜ商事過料決定の前に懈怠していることを教えてくれないのでしょうか。
会社等を代表する者は,取締役・監査役等の選任義務や,登記義務を当然に遵守すべきものとされています。また,法令上の義務の懈怠の事実が認められる以上,過料を課すべきものであることから,懈怠していることを事前に通知することはしておりません。
6.事前に言い分を聞かないで商事過料決定がされるのはなぜでしょうか。
裁判所は,非訟事件手続法122条に基づき,相当と認めるときは,当事者の陳述を聴かないで過料についての裁判をすることができます。
7.私は役員を辞めたのに,なぜ過料が課せられるのでしょうか。
任期の満了により退任又は辞任した法人を代表する役員は,新たに選定された代表する役員が就任するまでなお代表する役員としての権利義務を有します。したがって,自らが退任又は辞任した場合を含め定款で定めた役員の員数が欠けた場合は,新役員を選任する義務があり,この義務に違反した役員には過料が課せられます。また,現在,新役員が選任されていても,退任又は辞任した役員の在任中又は上記義務を負う期間中の行為については,その役員に過料が課せられます。
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