トップ > 各地の裁判所 > 大阪地方裁判所/大阪家庭裁判所/大阪府内の簡易裁判所 > 裁判手続を利用する方へ > 医事部(第17・19・20民事部) > 第2節 訴え提起から争点整理
従来の問題点
民事訴訟では,訴えが提起された段階で,すぐに当該事件における問題点が把握できるわけではありません。そのため,その事件において何が問題なのか,原告と被告の言い分はどこが一致していてどこが食い違っているのかといった「争点」を明らかにしていかなければなりません。
とりわけ,医療訴訟では,医学という専門性が高い分野の問題をはらんでいるため,争点を早期に把握することが難しいことが多く,従来は,争点整理手続(原告・被告・裁判所の三者が,当該事件において何が重要な争点となるのか等について,主にラウンドテーブルと呼ばれる丸い机をはさんで自由な雰囲気の中で積極的に議論し,当該事件における争点を整理する手続)でも書面の交換が繰り返されるだけで,時間ばかりが費やされ,迅速かつ充実した審理が実現できかねない状態となっていました。
争点整理手続の様子(模擬)
このように,従来,医療訴訟における迅速かつ充実した審理を困難にしていた理由として,次のような点が指摘されていました。
- 裁判所も当事者も,医療に関する専門的な知識を十分に備えているわけではないため,事案や問題点の把握に非常な時間と労力が必要となる。
- 証拠(特に医療訴訟において重要な証拠となるカルテなど)が,被告側(医療機関側)に偏在しているため,証拠の提出や情報の開示について,被告側からの協力が得られない限り,事案や問題点を把握するのに多大な時間が必要となる。
- 「鑑定」に時間がかかる→「鑑定について」参照
医事部の取り組み
以上のような従来における医療訴訟の問題点を踏まえた上で,医事部では,争点整理に様々な工夫を重ねることにより,迅速かつ充実した審理の実現を目指しています。
ここでは,医事部における主な取り組みをご紹介します。