トップ > 各地の裁判所 > 大阪地方裁判所/大阪家庭裁判所/大阪府内の簡易裁判所 > 裁判手続を利用する方へ > 商事部(第4民事部) > 3_1手形・小切手訴訟の手続の概要
- Q1 手形・小切手訴訟は、通常の訴訟とは違うのですか。
- 1. 手形・小切手訴訟は、通常の訴訟よりも簡易迅速に債務名義(手形・小切手判決)を取得することを目的とする特別の訴訟手続です。
- 2. 手形・小切手訴訟では、訴訟の目的は、手形・小切手による金銭の支払請求とこれに伴う法定利率による損害賠償請求に限定されています(民事訴訟法350条1項・367条1項)。
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3. 手形・小切手訴訟には、次のような通常の訴訟とは異なる特色があります。
(1) 最初の口頭弁論期日で審理を完了するという一期日審理の原則(民事訴訟規則214条)のもとで審理されます。
(2) 原則として証拠となるのは書証のみとされ(民事訴訟法352条1項・367条2項)、例外的に文書の成立の真否及び手形・小切手の提示(呈示)に関する事実について当事者本人の尋問が許されるという証拠方法の制限(民事訴訟法352条3項・367条2項)があります。
(3) 請求を認容する場合の手形・小切手判決には、職権で必ず仮執行の宣言が付されます(民事訴訟法259条2項)。
(4) 手形・小切手判決に対する不服申立ては、異議申立てのみが許されます(民事訴訟法356条・357条・367条2項。なお、訴えを却下する手形・小切手判決を除きます。)。
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4. なお、手形金・小切手金の請求をする場合、手形・小切手訴訟によるか通常訴訟によるかは、申立てをする人が自由に選択できます。
しかし、手形・小切手訴訟による審理裁判を求めるには、訴状に、手形・小切手訴訟によって審理裁判を求める旨の申述を記載しなければなりません(民事訴訟法350条2項・367条2項)。
- Q3 どのような場合に通常の訴訟手続に移行(通常移行)するのですか。
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1. 手形・小切手訴訟は、原告が、口頭弁論終結前までに通常の訴訟手続へ移行(通常移行)させる旨の申述をした場合に、通常の訴訟手続に移行します(民事訴訟法353条・367条2項)。
通常の訴訟手続への移行に当たり、被告の承諾は必要ありません。
- 2. 原告が通常の訴訟手続への移行の申述をする場面としては、手形・小切手訴訟の証拠制限(民事訴訟法352条・367条2項)があるため原告勝訴の手形・小切手判決を得られる見込みがない場合(例えば、被告が、手形の振出しや裏書を否認したが、原告が、被告の印鑑登録証明書や銀行取引印との同一性を証する書面を提出できず、原告本人尋問によっても被告の振出や裏書の事実を証明することが困難な場合)などがあります。
- 3. なお、いったん通常訴訟への移行の申述がなされると、その後申述を撤回して手形・小切手訴訟に戻すことはできません。
- Q4 手形・小切手訴訟は、どこに申し立てれば良いのですか。
- 請求金額や被告の住所地等で裁判所が変わります。
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1. 手形・小切手訴訟は、手形・小切手に記載されている支払地(民事訴訟法5条2号)または被告の住所地等(民事訴訟法4条)を管轄する裁判所のいずれかに提起することができます。(注)
2. この場合、請求金額が140万円までの場合は簡易裁判所が、140万円を超える場合は地方裁判所が、それぞれ管轄裁判所になります(裁判所法24条1号、33条1項1号)。
手形・小切手が複数ある場合には、その請求する金額を合算した金額によります。
3. 大阪地方裁判所の管轄については次のとおりです。
(1) 大阪地方裁判所
大阪市、池田市、箕面市、豊能郡、豊中市、吹田市、摂津市、茨木市、高槻市、三島郡、東大阪市、八尾市、枚方市、守口市、寝屋川市、大東市、門真市、四條畷市、交野市
(2) 大阪地方裁判所堺支部
堺市、高石市、大阪狭山市、富田林市、河内長野市、南河内郡、羽曳野市、松原市、柏原市、藤井寺市
(3) 大阪地方裁判所岸和田支部
岸和田市、泉大津市、貝塚市、和泉市、泉北郡、泉佐野市、泉南市、阪南市、泉南郡
(注)
1. 1通の手形の複数の被告(振出人、手形保証人、裏書人等)を共同被告として1通の訴状で手形金請求をする場合、支払地または共同被告のいずれかの住所地で訴えを提起することができます。
2. その他に、当事者同士が合意した場合の合意管轄(民事訴訟法11条)や被告が応訴することによって管轄が生じる応訴管轄(民事訴訟法12条)があります。
- Q5 訴状に貼付する申立費用の印紙額はいくらになりますか。
- 請求価額(金額)により決まります。
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1. 訴状に貼付する印紙額は、通常訴訟と同様に訴訟の目的の価額によって決まります。
訴えを提起する際に裁判所に納めなければならない手数料を申立手数料といい、民事訴訟費用等に関する法律8条に従い、訴訟の目的の価額に応じて算出される手数料相当額の収入印紙を貼付して納めていただきます。
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2. 請求価額の算定方法
(1) 複数の手形・小切手を併せて請求する場合、原則として各請求の価額を合算した額を基準として算定します。
(2) 附帯請求(利息、遅延損害金)の価額は、訴訟の目的の価額に算入されません。
(3) 1通の訴状で複数かつ同一の手形・小切手の振出人、裏書人等に対してそれぞれ請求をする場合には、そのうちの多額の価額を基準として算定します(例えば、振出人である甲には手形A、手形B、手形Cの合計300万円を請求し、裏書人である乙には同一の手形A、手形Bの合計200万円を請求する場合には、多額の300万円を基準とします。)。
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3. 申立手数料の具体的な額は、民事訴訟費用等に関する法律3条・同別表第1の1項のとおりです。
(例)
価額が150万円なら申立手数料は1万3000円。
価額が300万円なら申立手数料は2万円。
価額が500万円なら申立手数料は3万円。
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4. なお、上記の印紙の他に、被告に訴状の副本等を送達するために必要となる郵便切手を納めていただきます。
(内訳)
第4民事部では、被告1名で、500円を7枚、100円を7枚、84円を5枚、20円、10円、5円、2円、1円を各10枚ずつ(合計5000円)を納めていただきます。被告が1名増えるごとに1204円(500円を2枚、100円を2枚、2円を2枚)のセットを2組(合計2408円)追加して納めていただきます。