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1 民事保全手続とは
(1) 民事保全手続の意義
債権者(民事保全の申立てをする人は債権者と呼ばれます。)が勝訴判決を得て強制執行を行うまでには一定の時間を要します。しかしながら,勝訴判決を得るまでの間に債務者(民事保全の申立てがされた人は債務者と呼ばれます。)に財産を処分されてしまっては,勝訴判決が無意味になりかねません。そのため,債務者の財産を一時的に処分できないようにしておく手続が民事保全手続です。
(2) 民事保全手続の種類
民事保全手続は,大きく分けて仮差押え(民事保全法20条),係争物に関する仮処分(民事保全法23条1項),仮の地位に関する仮処分(民事保全法23条2項)に分類することができます。
仮差押えは,金銭債権について将来の強制執行を保全するために債務者の財産を処分できないようにすることを目的とする手続です。
仮差押えと同様に将来の強制執行を保全するもので特定物の引渡請求権等を保全の目的とするのが係争物に関する仮処分です。例えば,将来の不動産所有権移転登記請求権を保全するために登記名義を現状のままに固定しておくこと(処分禁止仮処分),将来の建物の明渡請求権を保全するために居住者を現状のままに固定しておくこと(占有移転禁止仮処分)を求めることができます。
これに対し,仮の地位を定める仮処分とは,争いがある権利関係について,現在債権者に生じる著しい損害又は急迫な危険を避けるために暫定的な措置をすることを求める仮処分です。例えば,交通事故の被害者が事故のために働けず,生活に困窮している場合に,被害者は,加害者に対して,毎月一定の金銭の給付を求めることができます。