競売申立時の代位登記について

1. 代位による相続登記

不動産登記簿に表示された所有者が死亡したが,その所有権(持分)に関して,相続を原因とする所有権(持分)移転登記がなされていない不動産に対し,競売(強制競売)を申し立てるためには,債権者代位権(民法423条)に基づき,相続を原因とする所有権(持分)移転登記の代位登記をする必要があります。

2. 相続人の確定手続

次の手順に従って,被相続人の法定相続人の有無及び生死を調べ,相続人を確定させた上,裁判所にその資料を提出してください。

  1. 被相続人(死亡した所有者)が亡くなった日の翌日から数えて3か月(相続の承認・放棄の期間,民法915条)を経過した後に,被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し,被相続人に関する相続放棄等の申述の有無を照会してください。
    なお,戸籍の取り寄せ等に時間を要した場合(目安として3か月以上),念のためもう一度,家庭裁判所に対し,相続放棄の申述の有無の照会をすることをお勧めします。もし,相続人の変動があったことが執行裁判所の開始決定後に判明したときは,執行裁判所の手続きを更正するなど,事件の進行が遅れます。
  2. 被相続人の子(第一順位の相続人,民法887条1項)及び配偶者(民法890条)の有無及びその生死を調べてください。そのためには,被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取り寄せてください。
    ※ 代襲相続(民法887条2項,3項)もあり得るので,戸籍謄本等をよく確認してください。
  3. 子が相続放棄の申述をしたか,又は,いない場合には,直系尊属(親等,第二順位の相続人,民法889条1項1号)の有無及びその生死を調べてください。
  4. 直系尊属が相続放棄の申述をしたか,又は,死亡している場合には,被相続人の兄弟姉妹(第三順位の相続人,民法889条1項2号)の有無及びその生死を調べてください。そのためには,被相続人の親の出生から死亡までの戸籍謄本等を取り寄せてください。
    なお,代襲相続(民法889条2項)もあり得るので,戸籍謄本等をよく確認してください。
  5. 以上の調査の結果,相続人のあることが明らかでないときは,被相続人の最後の住所地又は相続開始地を管轄する家庭裁判所に対し,原則として相続財産管理人を選任するよう申立てをしてください(民法951条,952条)。
    相続財産管理人が選任された場合,相続財産管理人が,所有者について「亡○○○○相続財産」と登記名義人表示変更登記をしますので,登記が完了した後に競売を申し立ててください。不動産登記簿にこの登記名義人が表示されていないと差押登記ができません。
    ただし,担保権実行による競売で,相続財産管理人が選任出来ない場合や,相続財産管理人が選任されているにもかかわらず表示変更登記が出来ない場合は,次のように手続を進めることがあります。
    ア 【相続財産管理人が選任出来ない場合】
    申立債権者が,競売申立受理証明書に基づいて相続財産法人に代位して登記申請することによって表示変更登記を行い手続を進めることがあります。
    この場合,開始決定送達等のために特別代理人(民事執行法20条,民事訴訟法35条)選任の手続が必要となります。
    イ 【相続財産管理人が選任されているにもかかわらず表示変更登記が出来ない場合】
    上記アと同様に表示変更登記を行い,手続を進めることがあります。
    この場合,相続人不存在を証する書面として民法952条に基づき相続財産管理人が選任されいる旨の証明書(相続財産管理人選任証明書等)を提出する必要があります。

3. 競売申立時に必要な書類

通常の申立てに必要な添付書類に加えて,次の書類が必要です。
※ 担保権実行による競売の場合,申立時に提出する代位登記前の現在事項証明書又は全部事項証明書については,写し2通を提出する必要はありません。

1. 【強制競売の場合で債務名義の給付条項が被相続人に対するものであるとき】

ア 承継執行文付きの債務名義の正本
イ 承継執行文等の送達証明書

2. 【担保権実行による競売の場合】

ア 相続関係説明図(2通)
イ 相続人を確定させるために要する戸籍謄本等(原本各1通,写し各1通)
ウ 各相続人の住民票又は戸籍附票(各相続人のみ記載のもの)(原本各1通,写し各1通)
・ 申立日からさかのぼって1か月以内に発行されたものに限ります。
エ 相続放棄等の申述の有無についての家庭裁判所の回答書
オ 競売申立受理証明申請書(申請用1通,証明用1通)(Word:32KBPDF:85KB)
※ 申請書の本文中に引用した当事者目録及び物件目録を必ず添付してください。
カ 代位による相続登記をする旨の上申書(1通)(Word:27KBPDF:98KB)
※ 申請書の本文中に引用した当事者目録及び物件目録を必ず添付してください。

4. 手続の流れ

1. 【強制競売の場合】

ア 申立債権者は,法務局で相続登記の代位登記をしてください。
※ 少なくとも次の書類が必要であると思われますが,事前に法務局で確認してください。
a  強制競売を申し立てるための債務名義(判決等)の正本
b  相続関係説明図
c  相続人を確定させるために要する戸籍謄本等
イ 相続登記が完了した不動産登記事項証明書に基づいて申立書を作成し,執行裁判所に強制競売の申立てをしてください。
申立時には,相続登記完了後の現在事項証明書又は全部事項証明書(原本各1通,写し各2通)を提出してください。

2. 【担保権実行による競売の場合】

ア 相続人を所有者とする申立書を作成し,競売の申立てをしてください。
イ 執行裁判所は,申立書の審査後,申立債権者の申請に基づいて競売申立受理証明書を交付します。また,申立てに際して裁判所に提出されている相続人確定のために必要な戸籍謄本等の原本は返還します。
ウ 申立債権者は,法務局で相続登記の代位登記をしてください。
※ 少なくとも次の書類が必要であると思われますが,事前に法務局で確認してください。
a  相続関係説明図
b  相続人を確定させるために要する戸籍謄本等(裁判所が返還したもの)
c  競売申立受理証明書
エ 相続登記が完了した後,現在事項証明書又は全部事項証明書(原本各1通,写し各2通)を裁判所に提出してください。

申立書等の提出先

郵便番号532-8503
大阪市淀川区三国本町1-13-27
大阪地方裁判所第14民事部 不動産開始係(4階)

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      1. 1. 交通部(第15民事部)について
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      8. 当事者の理解と協力
      9. 第3節 証拠調べ
      10. 集中証拠調べの実施
      11. ポイントを絞った尋問の実施
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      13. 鑑定人の選任手続について
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      16. 第1節 はじめに
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