トップ > 各地の裁判所 > 大阪地方裁判所/大阪家庭裁判所/大阪府内の簡易裁判所 > 裁判手続を利用する方へ > 保全部(第1民事部) > 3_1.配偶者暴力等保護命令手続とは
※本ページの情報は、令和6年4月1日から施行された配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律(令和5年法律第30号)による改正後の情報です。
1 配偶者暴力等保護命令手続とは
(1) 保護命令手続について
配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力等を防ぐため、被害者の申立てにより、裁判所が、加害者に対し、被害者へのつきまといをしてはならないこと等を命ずる命令です。
保護命令手続においては、保護命令の申立てをする被害者を「申立人」、申立ての相手となる配偶者や生活の本拠を共にする交際相手を「相手方」といいます。
(2) 保護命令の内容
申立人が、保護命令において求めることができる内容は以下の6つの種類があります。このうち、②~⑤の命令は、①の命令の実効性を確保する付随的な制度ですから、単独で求めることはできず、①の命令と同時か、同命令が既に出ている場合のみ発令されます。
① 申立人への接近禁止命令
1年間、申立人の身辺につきまとったり、 申立人の住居(同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろついたりすることを禁止する命令です。
② 申立人への電話等禁止命令
申立人への接近禁止命令の期間中、相手方から申立人に対する面会の要求、緊急時以外の連続した電話やメール送信など一定の迷惑行為を禁止する命令です。
③ 申立人の子に対する接近禁止命令
子を幼稚園から連れ去られるおそれがあるなど、子に関して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに、 申立人への接近禁止命令の期間中、申立人と同居している未成年の子の身辺につきまとったり、住居や学校等その通常いる場所の付近をうろついたりすることを禁止する命令です。
④ 申立人の子への電話等禁止命令
申立人への接近禁止命令の期間中、相手方から子に対する緊急時以外の連続した電話やメール送信など一定の迷惑行為を禁止する命令です。
⑤ 申立人の親族等への接近禁止命令
相手方が申立人の実家に何度も押しかけ高齢の実母が精神的に参ってしまうなど、相手方が申立人と密接な関係にある親族等の住居に押し掛けて親族等に関して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに、申立人への接近禁止命令の期間中、その親族等の身辺につきまとったり、住居(その親族等が相手方と同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろついたりすることを禁止する命令です。
⑥ 退去等命令
申立人と相手方が生活の本拠を共にする場合において、相手方に対して、2か月間(住居の所有者又は賃借人が申立人のみである場合において、申立人の申立てがあったときは、6か月間)家から出ていくことを命じ、かつ同期間その家の付近をうろつくことを禁止する命令です。
(3) 保護命令の範囲の拡大
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)は、令和6年4月1日に改正法が施行され、接近禁止命令等の発令の対象の拡大、子への電話等禁止命令の創設、保護命令違反に関する罰則の加重がなされています。
(4) 保護命令違反
保護命令に違反した者には、2年以下の拘禁刑(刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)が施行される日の前日までは「懲役」)又は200万円以下の罰金が科せられます。したがって、保護命令は非常に強い効力を有します。