トップ > 各地の裁判所 > 大阪地方裁判所/大阪家庭裁判所/大阪府内の簡易裁判所 > 裁判手続を利用する方へ > 保全部(第1民事部) > 3_1.配偶者暴力等保護命令手続とは
1 配偶者暴力等保護命令手続とは
(1) 保護命令制度の意義
配偶者等から暴行罪又は傷害罪に当たるような暴力を受けたことがあるか又は生命・身体に対して害を加える旨の脅迫を受けたことがあり,今後,配偶者等からの身体に対する暴力によりその生命身体に危害を受けるおそれが大きいときに,その被害者がそのような危害を避けることができるように,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)により創設された制度です。
(2) 保護命令の内容
被害者は,この場合,保護命令を求めることができますが,保護命令において求めることができる内容は以下のとおりです。
① 接近禁止命令
6か月間,被害者の身辺につきまとったり,被害者の住居(同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろついたりすることを禁止する命令です。
② 退去命令
被害者と加害者とが同居している場合で,被害者が住居から引越しをする準備等のために,加害者に対して,2か月間家から出ていくことを命じ,かつ同期間その家の付近をうろつくことを禁止する命令です。
③ 電話等禁止命令
6か月間,加害者から被害者に対する面会の要求,深夜の電話やFAX送信,メール送信など一定の迷惑行為を禁止する命令です。
④ 子に対する接近禁止命令
子を幼稚園から連れ去られるおそれがあるなど,子に関して被害者が加害者に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに,6か月間,被害者と同居している未成年の子の身辺につきまとったり,住居や学校等その通常いる場所の付近をうろついたりすることを禁止する命令です。
⑤ 親族等に対する接近禁止命令
加害者が被害者の実家に何度も押しかけ高齢の実母が精神的に参ってしまうなど,加害者が被害者に密接な関係にある親族等の住居に押し掛けて親族等に関して被害者が加害者に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに,6か月間,その親族等の身辺につきまとったり,住居(その親族等が加害者と同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろついたりすることを禁止する命令です。
(3) 保護命令の範囲の拡大
なお,DV防止法は,平成26年1月3日に改正法が施行され,婚姻関係又は内縁関係にあった配偶者等からの暴力等を受けた場合のほか,生活の本拠を共にする交際関係(いわゆる同棲関係)にある加害者から暴力等を受けた場合も同様に保護命令の対象となることとなりました。
(4) 保護命令違反
保護命令に違反した者には,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。したがって,保護命令は非常に強い効力を有します。